『ミッドナイト・ゴスペル』第1話「王の味」感想

紙鶴です。全話分の感想まとめて書こうとしてたんですけど分量がえぐいことになりそうだったので1話ずつ書いていくことにしました。どうぞよしなに。

 

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第1話「王の味」

【ゲスト】ドリュー・ピンスキー医師(Drew Pinsky)

内科医。中毒医学のスペシャリスト。

 

ゾンビが蔓延った世界で人間と化学物質(大麻や薬)の関係性についての話から始まる。初っぱなから”大麻も医療用に使われてるしオピオイドの使用量も減らせる、むしろ薬の方がヤバい”って話が展開されていく。本編開始5分で。なんだこれ……。その後、大統領は「薬は化学物質で良いも悪いもない。存在するだけ」と言う。この台詞かなり好き。水も飲みすぎれば体に毒なように摂取量や付き合い方の問題なのよね。中盤に出てくる「健康とは現実をあるがままに受け入れること」って台詞もかなり好き。現状を受け入れていない状態は健康ではない。

 

モールへ移り、瞑想の話が始まる。クランシーは以前、怒りを抑えるために幻覚剤を使用していたが、今では瞑想で怒りを抑えられるようになった。瞑想という名の幻覚剤で自身の感情を探れるようになるってこと。頭がくらくらしてきた。自分は今何を見ているのかわからなくなってきた。(対してDr.ドリュー(大統領)は対人関係において感情を探ると言う。)

 

瞑想と幻覚の話が一区切りついたところで、ゾンビ化した大統領がクランシーと女性と赤ちゃんにかみつき、みんな仲良くゾンビに。ゾンビになったクランシーの第一声「すごいや、気分いいや」。みんなゾンビになったことを後悔していない。現状を受け入れている。「ゾンビは最高で死は救い」と歌いながら語っている。これ、めちゃくちゃ”健康”なのでは?

 

歌が終わると同時に解毒剤を持った人間達が乗り込んできて、ゾンビが強制的に人間にされていく。ゾンビになり得た幸せが、生を得ることで一瞬にして崩れ去ったのである。人間に戻ったことでまたゾンビに食われたり、ゾンビになるときに受けた傷が人間に戻ることで即死に繋がったり。人間に戻ったことでまた地獄に逆戻りするのである。こんなことってある? こんなことなら生きた人間なんかよりゾンビの方が良かったんじゃないかと思ってしまう。「ゾンビになるのは可哀想」とか「生きてた方が幸せだ」とか思い込む人間のエゴが前面に出てて引き笑いしか出てこない。

 

前半でしていた「薬は化学物質で良いも悪いもない」って話がここでめちゃくちゃ効いてくる。「悪い薬なんてない、状況によるのだ」。笑っちゃったよね。神回だよ。

 

総括

全話を通して瞑想(マインドフルネス)や死生観は主題として取り扱われていくけど、第1話のキーセンテンスとしては「現実をあるがままに受け入れること」が挙げられるかなと。生が現実であるならそれを受け入れ、死が現実であるならそれを受け入れる。ただそれだけの話。ただそれだけの話なのだ。

”死が現実になる”とは。

 

参考

note.com

 

kamitsuru.hatenablog.jp