劇場アニメ『映画大好きポンポさん』雑感

紙鶴です。劇場アニメ『映画大好きポンポさん』を見ました。

pompo-the-cinephile.com

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すげぇもん見たな。これが見終わった後の率直な感想。

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平日休みは映画に限る。ってことでオタク御用達のブルク13に向かい、劇場入り口でポンポさんの歓迎を受ける。これからよろしくね。

(ちなみにポンポさんは原作未読、前情報はTwitterの「おもしろかった」のみ。)

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以下、雑感。

 

・映像

皆さん知らないかもしれませんが、映画館で見る映画って家で見る映画より画面と音がでかいんですよ。そんでもって、でかい画面とでかい音で楽しむ面白いアニメってすげぇんですよ。

映画製作が題材のアニメ映画を映画館で上映する、それ相応の映像の魅せ方が存分に盛り込まれていて終始惹き込まれっぱなしだった。なんと言っても「リリーがアリアを口ずさんでいる所をダルベールに呼び止められて振り向くシーン」。次点で「ジーンくんの編集シーン」。アニメだからこそしらけず受け止められる、実写じゃなくてアニメを見てるんだって思わせてくれるシーンが好き。その他にも、車のワイパーを使った場面転換、横断歩道を渡るナタリー、ジーンくんの”痺れ”、ポンポさんのコミカルな動き、芝居に入り込むマーティンさんの渋さ等々、演出美・映像美の連続で本当に飽きない作りだった。もう1回隅々まで見たい。

 

・ポンポさん

「極論、映画って女優を魅力的に撮れればそれでOKでしょ」。そのとおりである。

ポンポさんの言葉には力がある。暴力がある。前述の映像美と合間合間に挟まる暴力だけで十分楽しめる90分がここにある。アメとムチ、というより、ドラッグと刑務所。甘美なトリップの最中に警棒で後頭部殴られる。

ポンポさんのポップで愛らしいキャラクター性に大物映画プロデューサーとしての狂気が乗ってるのもなんともまぁアニメ的で好き。

 

ジーンくん

やるか死ぬかの瀬戸際にしか居場所がない人間が主人公の作品が好きすぎる。映画にしか居場所がないなら映画以外の居場所はいらないんすよ。好きなものを突き詰めた先にある景色がどんなものかわかっていてもその道を選ぶことができない人間にはジーンくんが眩しすぎる。

 

・芝居

キャスティングの話。

 

ジーン:清水尋也さん
ナタリー:大谷凜香さん

特になし。可もなく不可もなし。本職以外のキャスティングは好意的ではないので。

 

ポンポさん/ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット小原好美さん

正解です。「ポンポさんが来たぞー!」で100点満点を叩き出した。アニメ、キャラクターが喋るから好き。かぐや様は告らせたいの藤原千花みたいな抑揚のある可愛らしい声ではないものの、女性的で大物感のある芝居が素晴らしかった。少ない抑揚でしっかり芝居するの、月がきれいの水野茜を演じていた頃から変わらない良さがある。


マーティン:大塚明夫さん

ずるい。一気に洋画になる。

 

・90分

90分、世界で1番好きな時間です。90分でここまでメッセージ性があって面白くて破壊力がある作品ができるならもうそれだけでいいじゃん。切り詰めて削って尖らせたその先にあるこの爆発力がたまらない。

(話変わるけど、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に対する自分の評価が高くない理由のひとつがここと絡んでくる。)

 

・原作とパンフレット

映画視聴後即原作購入。漫画は漫画で十分面白いし、この原作を再構成してこの映画を作ったのも面白い。原作の削り方もアニメオリジナル展開の差し込み方も脱帽。アニメが面白い作品は原作も面白いので原作も買ったほうがいいです。

ポンポさんと監督・脚本の平尾隆之さんの好きな映画である「セッション」の話。

パンフレットで監督が言及されてるけど、夢と狂気なんですよ。狂ったその先にある、全身の毛が逆立つような興奮が感じたいんすよ。セッションも実質ポンポさんなので未視聴の方は見たほうがいいです。最後の締めなんか……ねぇ? 一緒じゃんね?

 

 

 

アランくんの話とかストーリーの本質的なところの話とかもしたいけど、その話が出来るほどちゃんと本編を理解できていないと思うのでそこらへんは言及せずに終わろうと思います。

 

あー、やっぱもう1回見ないとかなー。

 

 

 

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