『冴えない彼女の育てかた2』を読みました。

紙鶴です。丸戸 史明 著の『冴えない彼女の育てかた2』(富士見ファンタジア文庫)を読みました。

紆余曲折を経て、動き出した我らがゲーム制作サークル。ついに俺、安芸倫也のクリエイターとしての栄光の日々が始…「何言ってんの、今月末までにキャラデザなんて無理!」「時期が悪かったわね。ちょうど新作の執筆に取りかかってるの」「や、約束したよな二人とも?ちゃんと俺のゲーム制作に協力してくれるって!」「確かにやるとは言ったけど、まだその時期の約束まではいてないでしょ?」「つまり、私たちがその気になればゲームの完成は10年20年後ということも可能だろう、ということ」「どうやってゲーム作るのこのサークル!?」メインヒロイン育成コメディ、いきなり波乱の第2巻。
「BOOK」データベースより

動き出すサークル活動、加藤恵とのデートもとい取材、霞ヶ丘詩羽先輩とのプロットリテイク。そんな感じのお話でした。2巻のメインは表紙にも登場している霞ヶ丘詩羽先輩……かと思いきや結局加藤恵。バイアスがかかっているからかもしれないけど。加藤恵なんですよ。

キャラデが微妙とかキャラが立ってないとか散々言っていた安芸倫也がお見舞いに来た英梨々との会話の中で加藤恵の本質的な一面に気付いてしまったわけです。憧れみたいな感情を持ってしまったわけです。なんなんだ。勘弁してくれ。今まで散々オタクトークで張ってきた予防線が眼鏡プレゼントの下りで音を立てて崩れていくのがほんと……。結局は素の加藤恵が一番―――。

 

 

 

オタクの根源的かつ原初的な理想である自分に優しくて一緒にいて楽しい女性像のまんまなわけで。主語がでかいですね、すみません。対人関係においてフラットだからこその、オールラウンダーだからこその強みが前面に出て……いないんですけどこれが一番強いんですよ。日本語変になってきた。伝われ。自己肯定感が低い(安芸倫也ではなく数多くの一般3次元オタクたち)(また主語がでかい)人間にとって自分の素に対して普通に接してもらえることが何よりの安寧で心穏やかになれるからこそ味の濃すぎない加藤恵が一番鋭利で一番深くまで刺さるんじゃないでしょうか。もう抜ける気がしないしめちゃくちゃ痛い。助けて欲しい。安芸倫也が去って1人になったときに拗ねて怒って不機嫌になってそういう人間臭い部分も見たくなかった。こんなの見せられてどうすればいいんだよ。もう保たないんですが。まだ2巻なのにもう続きが読みたくなくなっている。終わりは始まったばかりなのに。

 

 

 

おまけ:霞ヶ丘詩羽先輩の話

『恋するメトロノーム』も『cherry blessing〜巡る恵みの物語〜』も霞ヶ丘詩羽の自己投影が重すぎてきつい。安芸倫也はそれらを作品としてしか見ていないのでそれがさらにきつい。正しいんだけども。それが普通なんだけども。
メイン3人のなかで一番自分の意見を言わない(主観です)彼女だからこそ創作物たちが彼女以上に心情を語っているんですかね。多分。そんな気がする。周りを見ちゃうから一歩引いちゃうから茶化して素直にならなくて欲しいものは手に入らなくて。勘弁してください。