『冴えない彼女の育てかた』を読みました。
紙鶴です。丸戸 史明 著の『冴えない彼女の育てかた』(富士見ファンタジア文庫)を読みました。
冴えない彼女の育てかた 読了―――。 pic.twitter.com/tBzd2nte6x
— 紙鶴 (@KMTR_) 2019年11月12日
これは俺、安芸倫也が、ひとりの目立たない少女をヒロインにふさわしいキャラとしてプロデュースしつつ、彼女をモデルにしたギャルゲームを製作するまでを描く感動の物がた…「は?なんの取り柄もないくせにいきなりゲーム作ろうとか世間なめてんの?」「俺にはこのたぎる情熱がある!…あ、握り潰すな!せっかく一晩かけて書き上げた企画書なのに」「表紙しかない企画書書くのにどうして一晩かかるのよ」「11時間寝れば必然的に残った時間はわずかに決まってんだろ」「もうどこから突っ込めばいいのよ…このっ、このぉっ!」…ってことで、メインヒロイン育成コメディはじまります。
「BOOK」データベースより
アニメを見て、劇場版も見て、それから原作を追う終わりの始まり。基本会話分で構成されていて地の文は少ない印象。作者の経歴からギャルゲーとかエロゲに近い文体なのもうなずける(それはそう)。サクサク読めて読破まで3時間くらい? でした。
シリーズ第1巻ということでキャラの位置づけメイン……というか改めて読むとここで全てが完結していると言っても過言ではないのでは……怖すぎる……。澤村・スペンサー・英梨々と霞ヶ丘詩羽先輩の立ち位置、安芸倫也の消費型オタから生産型オタになる段階での周囲のクリエイターとの才能の壁や葛藤、そして加藤恵の芯の強さとヒロインとしての力……。ひぃ……。
読んで思ったこと。澤村・スペンサー・英梨々は思っていたより毒舌? というか加藤恵との距離感こんなだったっけ……ちょっと違和感を感じるくらいだった。霞ヶ丘詩羽先輩は安定。加藤恵は……加藤恵……。最初から加藤恵の意志はそこにあったんだよな……気付いてなかったのは自分だけなんだよな……ごめんな……。そんなに抑揚ないキャラのわりに会話文中の「!」とか「?」とか割りと多くて意外。小説での加藤恵は思っていたよりも表情豊かで起伏に富んでてもうすでにヒロインたり得る存在のようで。これはこれでダメージがでかい。好きがでかくなりすぎてしまう。あと「フラットな」って表現がそれなりに使われていて出てくる度に震えた。「♭」……やめてくれ……。
224ページから最後までの勢いが特にすごくて本当にページをめくる手が止まらなかった。安芸倫也のオタクとしての行動力と勢い、ほんと敵わねぇ……。
攻略できないヒロインは好きにならないことに決めてるんだ。だってさ、どれだけ相手のことを好きになったとしても、その想いが絶対に届かない恋なんて辛すぎるだろ?
『冴えない彼女の育てかた』P46
加藤恵は好きにならない。