『十字架』を読みました。

紙鶴です。重松 清 著の『十字架』を読みました。

十字架 (講談社文庫)

十字架 (講談社文庫)

 

いじめを止めなかった。ただ見ているだけだった。それは、「罪」なのですか――?
自ら命を絶った少年。のこされた人々の魂の彷徨を描く長編小説。

いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。吉川英治文学賞受賞作。
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最初から最後まで自分の首には両手が添えられていて、物語の起伏に合わせて首を締め上げる強弱が変わる、そんな本でした。序盤がわりとあっさりと感じるくらいに中盤がきつい。タイトルの意味を悟ってからもっときつい。終盤は首を絞めていた手が少し緩む気がするけど、それでもなお、首には両手が添えられている感じ。読後の気分は正直良くないけど、読まない方がよかったかと聞かれるとそうでもない。
小説として、物語としてみせる「いじめ問題」として、救いを示している気がした。現実はたぶんもっと暗い。文庫版のあとがきを読んでそう思った。