紙鶴です。太田肇 著『ムダな仕事が多い職場』(ちくま新書)を読みました。
空回りする仕事、顧客への過剰なサービス、不合理な組織体質への迎合……。海外の企業と比較すると、日本の会社は仕事の進め方にムダが多い。この傾向は生産現場よりも、ホワイトカラーの職場において著しい。「職場のムダ」を排除するためには、働き方を変えるだけでなく、仕事やサービスに対する考え方にメスを入れなければならい。本書では、わが国の職場・社会に存在する「ムダ」を浮き彫りにするとともに、それがなぜ排除されないのかを掘り下げて論じる。そのうえで、どうすれば効率化できるかを説く。
全体を通して実例含む具体的な話が多く書かれているので内容のイメージがしやすかった。ムダの多い社会の現状を把握するには良い一冊。その反面、同じような話が何回も出てくるので正直くどく感じるところも少なからずあった。
また、ムダを減らすための社会の構造改革については書かれているけれど、個々人で職場のムダを減らしていく方法についてはこれといって書かれていない(本書冒頭にも書かれているけど)。そのため、自分みたく、個人レベルでムダ削減に取り組むための一助として本書に手を出すとちょっと期待はずれに感じてしまうかも。
最初に断っておきたい。本書の目的は、ムダそのものを指摘することではなく、ムダを生む構造、ムダの増殖に歯止めが掛からない原因に迫るところにある。(P23)
以下、各章ごとの内容と感想。
第1章「ムダな仕事が多い日本の職場」
職場におけるムダについて紹介されている。組織外の例として過剰なサービスが、組織内の例としてマイクロマネジメントが挙げられている。特に現状の人事評価システムや会議の話はかなり納得できるものばかりだった。
第2章「仕事に完璧は必要か」
完璧主義は必ずしも目指さなければいけないものではないとしている。プロセスの完璧さが主の日本と最終的な目的に照らした完璧さが主のドイツとの比較は面白かった。自分はどちらかというと日本的な完璧主義に近い方なので考えを改めるいいきっかけになった。80点主義でいこう。
第3章「効率化を阻むもの」
高度経済成長期、もとい、工業時代に生まれた風土や慣習が現代の足枷になっている話。効率化を妨げる大義名分のところは思い当たる節がありすぎて笑った。
第4章「ムダを根本から絶つには」
仕組みを変えないとダメって話。革新型のアプローチはもちろん、内圧(労働者側からの圧力)と外圧(企業間競争)が必要と語られている。内圧は雇用の流動化によって、外圧は規制改革やグローバル化の促進によって強くなる。
あと当たり前のことが当たり前に書かれていて笑っちゃったところの引用が以下。
残業が多いと人材が確保できないからである。(P145)
残業多い会社に好き好んで入らないわな。それはそう。
第5章「モデルは中小企業にある」
内圧と外圧のバランスが取れている中小企業が参考になる話。動きが柔軟な企業は強いなー。従業員が多く、旧体質の企業は何やってもだめ(白目)。
今回、サラッと1回読んだあと、内容まとめながら読み直す方式をとった。その方が内容理解は深まる気がする。今後もそんな感じでやっていきたい気持ち。