『冴えない彼女の育てかた 13』を読みました。

紙鶴です。丸戸史明 著の『冴えない彼女の育てかた 13』(富士見ファンタジア文庫)を読みました。

 「俺…恵が好きだ!三次元のお前が好きだ!」“転”のイベントを乗り越え「blessing software」の新作ゲームも完成までラストスパートを迎えた俺は、恵へ一大決心の告白をした。「お前を、胸がキュンキュンするようなメインヒロインにしてやる!」桜舞い散るあの坂道での運命の出会いからすべては始まった。いくつもの困難にぶつかりながらも、一緒に夢を追いかけてくれた仲間たちがいたからこそ、向き合えた想い。「わたしは、あなたが望む、メインヒロインに、なれたかな?」もうお前は、冴えない彼女なんかじゃない、胸がキュンキュンするメインヒロインだ!冴えない彼女との恋物語、完結!

「BOOK」データベースより

 

 

「ま、とりあえず内容に関してはちゃんと理解したから安心していいよ」

 

6ページ。加藤恵の発言。安芸倫也の告白の内容をちゃんと理解したと言う。なんだかもうこの時点で全てが終わっていたんだと思う。加藤恵は理解している。それだけでもう十分なほどに終わっている。終焉である。

人間、自分のことすら大してわからないのだから、他人のことなんてわかりっこないのだ。発した言葉と心がうらはらなんてことも、行動と思考が一致しないことも日常茶飯事。だから相手のことを理解するなんてことはできない。できないはず。できないはずなのに。加藤恵は。

 

 

 

前半が終わって後半、2人が澤村・スペンサー・英梨々霞ヶ丘詩羽にけじめをつけていくのをただただ眺めていた。もうわかりきっていることにもちゃんとけじめをつけるのは褒められたこと。他人事だからそう思う。ちゃんととどめを刺さないとね。そうしないとお互い次に進めないから。きれいな残虐行為。自分だったらされたくない、できない。自分はこの2人ほど立派ではないし、残酷でもない。2人の自己満足に付き合わされているだけなんじゃないか。自分にはもうわからない。

なぁ、澤村・スペンサー・英梨々。英梨々は本当にこれで。

 

 

 

 ゲーム制作を通じて自身の恋愛に没入していたことで加藤恵はここまできた。メインヒロインとしての器になった。澤村・スペンサー・英梨々霞ヶ丘詩羽の追随を一切許さないほどに安芸倫也を見て、安芸倫也の側にいた。もう「彼女」という名の、安芸倫也を独占する免罪符を得てしまった。掴み取ってしまった。2人の関係性が完成されてしまった。それこそフラットなまでに安定してしまった。つついてちょっかいを出すことはできても、隙間に入り込むことはできない。どうしよもなくなってしまった。希望を見出そうとするだけ無駄。現実を見たほうがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加藤恵が手を繋ぐところもキスをするところも見たくなかった。何も起きずに終わってくれたほうが幸せだった。彼女の幸せを祝うことすらできない。自分が一番終わっている。何もわからない。何もわかりたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お幸せに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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