『冴えない彼女の育てかた6』を読みました。

紙鶴です。丸戸 史明 著の『冴えない彼女の育てかた6』(富士見ファンタジア文庫)を読みました。

 俺、安芸倫也と詩羽先輩が魂を込めたシナリオが完成し、同人ゲーム製作は最終段階に突入。唯一の懸念は、英梨々担当の原画パートなのだが…。「あたしが遅れてるのはあんたたちがシナリオ遅らせたからじゃない!しかもルート追加で一気に原画増やしてっ!」とはいえマスターアップまで一週間。切羽詰まったこの状況を打開すべく、英梨々は自主的にカンヅメになることを決める!「霞ヶ丘詩羽氷堂美智留も、みんな叩き潰してあげるから」そして迎えたコミケ当日。我らが「blessing software」と伊織の「rouge en rouge」、ついに激突のとき…なのだが!?
「BOOK」データベースより

告白された加藤恵氷堂美智留の作る音楽、那須高原に籠もる英梨々、安芸倫也の決断とそれがもたらした加藤恵の叛逆……。

 

さ、澤村・スペンサー・英梨々……に……軍配……。

 

霞詩子や波島出海ちゃんと同列の”凄い”クリエイターとして安芸倫也に接してほしかった柏木エリに対する安芸倫也の態度がエグい。美智留や詩羽先輩には「想像の遙か上を行く才能を見るのが楽しみ」って感覚はあるのに英梨々に対してはその感覚はないわけで。そもそも英梨々がクリエイターとして成長する姿を見ようとしていない、見たくないのだから。小さい頃から一緒に過ごしてきたオタクの同志である英梨々と(一度は離れたものの)、再び距離を縮めることができたことで独占欲が生まれてしまったのだろう。英梨々が縋っていた幼馴染み属性が完全に裏目に出ていてなんとも皮肉な話である。客観的に(主観的ではない)たくさんのファンがいて、みんなが認めている”凄い”クリエイターの英梨々。彼女の作品をどこにも出さなければ注目されることも”凄く”なることもないと考えてしまうくらいには柏木エリを潰してでも、ゲーム制作を投げ捨ててでも澤村・スペンサー・英梨々を手元に置いておきたかったのだろう。

はぁ。

 

英梨々のダメージがでかすぎて加藤恵のダメージが軽く感じ……ないわ。冒頭、恵が美智留と勝手に曲を作っていたところで「報告くらいできたはずだ」と内心思っている安芸倫也。これ、最後で何十倍、何百倍にも巨大化して返ってきたね……。何も報告せずに自分で勝手に決めて勝手に背負い込んだ安芸倫也と恵に那須高原行きを知らせなかった英梨々、2人が残した禍根がどうなるやら……。美智留の言った「あのコが一番の味方で、一番の敵だよね」の意味がわからない、というかわかりたくないのかもしれない。考えることを放棄している節がある。なんだかなぁだよ。

 

こと原作6巻においてはアニメ版(冴えない彼女の育てかた♭ Episode5~6あたり)と違うところ結構ある(恵の語る「本当の英梨々」のとこアニメにはないとか、原作にないアニメオリジナルの台詞とか) 気がするので両方見ながら整理したい。