『冴えない彼女の育てかた3』を読みました。

紙鶴です。丸戸 史明 著の『冴えない彼女の育てかた3』(富士見ファンタジア文庫)を読みました。

詩羽先輩との甘い一夜(?)を経て、無事我らが同人ゲームのプロットが完成。次は英梨々によるキャラデザなのだが…「被告人に問います…なぜ急に髪型変えてきたの?」「え~と…なんとなく、かな?」「そんな理由で、あたしの作業量を倍以上に膨らまそうとしてるの!?」「いえ裁判長!被告人は常々『キャラが立っていない』『あ、いたんだ』などと誹謗中傷を繰り返され、犯行当時は心神喪失の状態にあったとして無罪を主張…」「別にわたし、そこまで言われなくても…」加藤の髪型チェンジにより、混乱するサークルの面々。だがその裏で英梨々が引き抜き!?秘めた想いを胸に、夏が始まる。
「BOOK」データベースより

今回は……今回は……。

 

 

 

澤村・スペンサー・英梨々に軍配―――。

 

人気を確立し、伊織曰く「もう完成している」、クリエイターとして強い柏木エリ。
出海ちゃんの才能に恐怖し、倫也曰く「上手いだけで凄くない」、クリエイターとして弱い柏木エリ。

美術部のエースで学校では注目の的の強い澤村・スペンサー・英梨々
小学校でのいじめによる傷がまだ残っている弱い澤村・スペンサー・英梨々

柏木エリと澤村・スペンサー・英梨々に内在している強さと弱さが垣間見える度にだめになってしまう……。柏木エリも澤村・スペンサー・英梨々も軸となる1本柱は高くそびえ立っているが、1本しかないが故にその柱はとても脆く、少しの衝撃ですぐに倒れてしまう。澤村・スペンサー・英梨々は柏木エリであると同時に柏木エリは澤村・スペンサー・英梨々であり、突き詰めると両者の柱は共有のものなんだと思う。
倫也に「私の方が、凄い?」と聞いた英梨々(エリ)は【自分の方が凄くないと思っている、自分にはない才能を目の前にして怯えている弱い柏木エリ】と【倫也なら自分を認めてくれる、そうであってほしいと願う弱い澤村・スペンサー・英梨々】が同居している結果から生じたものなのだろう。

最後も、結局倫也が見ているのは【クリエイターとしての柏木エリ】であって【幼なじみの澤村・スペンサー・英梨々】ではないことを感じたからこそ英梨々は柏木エリを復活させることができたのだろう。救いであり呪いである『リトルラブ・ラプソディ』をきっかけとして。

柏木エリと澤村・スペンサー・英梨々は同一。同一なのに倫也は同一として見てはいない。同一なのに復活したのは柏木エリだけで澤村・スペンサー・英梨々は復活していないのではないのか。澤村・スペンサー・英梨々にとってこれの結末は……考えたくもない。


(思い込みが多いと思います)

 

 

 

加藤恵の話。
描写こそ少ないもののかなり倫也と一緒にいたな……。表情の機微も少しずつ感じられるようになってきて益々……なんでもないです。『リトプラ』プレイ時のプロポーズに照れてる加藤恵、良かったです。

 

 

 

 上手いと凄い、努力と才能。残酷な話である。